「システマ」とは元ロシア軍特殊部隊の将校ミカエル・リャブコが創始したトレーニングシステムです。
もう一人の創始者であるヴラディミア・ヴァシリエフが、1993年にカナダのトロントへ移住したことをきっかけに世界へ広まりました。
システマとはロシア語でシステム(体系)という意味です。人の生命・人生を向上させるという思想とトレーニング要素が一体となったものという意味で名付けられました。
システマには、決まった型や技、段位やランク制度、五体の使用を制限するルールがありません。(人としてのモラルは除く)
これは、様々な状況に対応できるようにするためです。決まり事や決まった動作を覚える動きではなく、個人の直感的な反応、個性や特徴を大事にし、それらをトレーニングにより活用できるようにするというのがシステマで学ぶ動きです。
システマには歴史的・文化的な背景があります。
「ロシアは北、南、東、西からの侵略者を撃退しなければなりませんでした。すべての侵略者は、独自の戦闘スタイルと武器を持ち込んでいました。戦いはさまざまな地形で行われ、凍てつく冬やうだるような夏の暑さの中で行われ、ロシア軍は敵軍の数に大きく劣勢になることがよくありました。これらの要因の結果として、ロシアの戦士は、強い精神と、非常に革新的で多用途な戦術を組み合わせたスタイルを獲得しました。それは、どんな状況でもあらゆる種類の敵に対して実用的で致命的で効果的でした。そのスタイルは自然で自由であり、厳格なルール、堅固な構造、制限はありませんでした (道徳的なものは別です)。すべての戦術は本能的な反応、個人の強みと特徴に基づいており、特に素早い学習のために設計されていました。」出典:SYSTEMA HQ What is Systema?より
システマには「非破壊の原則」があります。目標は、自身のトレーニングと態度が、自身やパートナーの心身にダメージを与えないようにすることです。システマは、個人の身体、精神、家族、コミュニティを構築し、強化するようにできています。
システマには「汝自身を知れ」という別名があります。自分を理解するとは、自分の長所と短所を知ることだけではありません。システマのトレーニングは、自分自身を発見する方法の一つです。それは、どれだけ私たちが物事がうまくいけば簡単に自惚れてしまい、逆の状況ではいかに弱くなるかということです。システマは、謙虚さと人生の目的を明確に理解することから生まれる、真のスピリットを得ることを可能にします。
創始者たち

ミカエル・リャブコ
システマの創始者
モスクワ本部主任インストラクター
ロシア軍特殊部隊に25年間勤務
ロシア軍大佐を経て、ロシアの法務大臣補佐官を務める。
2023年永眠

ヴラディミア・ヴァシリエフ
トロント本部主任インストラクター
ロシア軍元特殊部隊
ロシア軍特殊部隊隊員、教官として10年に及ぶキャリアを積む。
1993年にカナダへ移住しシステマを世界に広げる。